近年、日本各地で豪雨災害が頻発しています。特に、線状降水帯による長時間の大雨や、短時間に局地的に降る集中豪雨が、都市部・山間部を問わず大きな被害をもたらしています。
洪水や土砂災害、地下街や住宅地の浸水など、私たちの身の回りに潜むリスクは年々高まっています。
「まさか自分の家が」「こんなに早く水が来るなんて」――そんな後悔をしないために、平時からの備えと正しい知識が必要不可欠です。
本コラムでは、大雨災害から命と暮らしを守るために今できることを、5つのポイントに分けてお伝えします。
1. ハザードマップの確認と避難先の把握
まず最初に行いたいのが、自宅や職場周辺がどのような災害リスクにさらされているのかを把握することです。
各自治体が公開している「ハザードマップ」では、浸水の深さ、土砂災害危険区域、避難場所の位置などが確認できます。
例えば、次のような点をチェックしましょう:
- 自宅や職場が河川氾濫や内水氾濫の危険区域に入っているか
- 土砂崩れの可能性がある斜面の近くに住んでいないか
- 最寄りの避難所まで、どれくらいの時間で、どのルートで避難できるか
避難経路は、大雨で冠水する道路や崩れる恐れのある斜面を避けたルートをあらかじめ家族と共有しておきましょう。夜間や停電時を想定して懐中電灯も常備しておくと安心です。
2. 自宅周辺の排水・雨水対策
大雨時に意外と多いのが、「家の前の道路が冠水して家の中まで水が入ってきた」という被害です。
原因のひとつは、排水路のつまりです。
家の周囲にある側溝や雨どい、排水口が落ち葉やゴミで塞がれていると、雨水が流れ込まず、すぐに水があふれてしまいます。
月に1回程度、晴れた日に点検・清掃をしておくことが、災害リスクの軽減に繋がります。
また、マンションなどの集合住宅でも、共有部分の排水口を定期的に管理組合で点検することが望まれます。
3. 浸水に備える「物理的な備え」
大雨で道路が川のようになった場合、家屋の1階部分が浸水する可能性があります。これを防ぐための簡単な備えが「土のうや水のうの設置」です。
- 土のうは、玄関やガレージ、勝手口などからの水の侵入を防ぐのに役立ちます。
- 入手が難しい場合は、45Lのビニール袋に水を入れ、口を縛って代用する「水のう」も有効です。
- 水が入りやすい通気口やエアコンの配管周辺にも注意し、必要ならテープやシートで一時的に封鎖しましょう。
さらに、家電製品や大切な書類、通帳などは、なるべく高い場所へ移動させておくことも重要です。
4. 非常用持ち出し袋と備蓄の見直し
大雨が続いて避難指示が出た場合、自宅での安全確保が難しいと判断されたら、速やかに避難することが重要です。
その際に必要となるのが、「非常用持ち出し袋」です。
以下のものを目安に、1人分ずつまとめておきましょう:
- 飲料水(最低でも1日2L×3日分)
- 非常食(保存食、栄養補助食品、缶詰など)
- モバイルバッテリー
- 懐中電灯+予備電池
- 雨具、マスク、消毒用アルコール
- 常備薬、保険証のコピー
- 現金(小銭含む)
- 身分証明書のコピー
これに加えて、家族構成に応じて赤ちゃん用品、高齢者用ケア用品、ペット用品なども忘れずに。
5. 情報収集の習慣と共助の意識
災害時、最も重要なのは「正しい情報を素早く入手すること」です。
そのために次のような手段を整えておきましょう。
- スマートフォンに気象庁や自治体の防災アプリをインストール
- NHKニュースやTwitterなどで公式情報をフォロー
- 災害時用のラジオやワンセグ機能を確認
- 停電時に備え、ラジオ付きのモバイルバッテリーやソーラー充電器の導入も有効
また、自分自身だけでなく、近隣の高齢者や子どもたちへの声がけや避難の支援といった**「共助」の意識**も非常に大切です。
いざというときに助け合える地域づくりを、普段から心がけておきましょう。
まとめ:災害は“備えた人”から守られる
「備えあれば憂いなし」とは、まさに災害対策にこそ当てはまる言葉です。
大雨は気象予測がある程度可能な災害であり、準備次第で被害を減らすことができます。

これらの一つひとつが、命を守る行動につながります。
災害は「起きてから」ではなく「起きる前」に備えるもの。
ぜひ今日から、ご家庭で防災対策を始めてみてください。